月草日記

探るな

予防

 大学で二回目のワクチンを打つ。受付の前で「予診票と診察券はお持ちですか?」と訊かれ、ちょっと戸惑ってしまう。診察券は持っているが、予診票は失念していたのだ。さらにひどいことに、一回目に書いた予診票を二回目の摂取時まで持っていなきゃいけないものと勘違いし(実際は一回目の摂取終了時に回収される)、あるはずの無いものを会場の入り口で探し続けてしまった。

 

 一回目のワクチン接種と少しだけ様子が違ったのは、担当してくださった医師をはじめ、様々な人から「二回目の副反応は一回目のそれより重い症状が現れる傾向にあるから、できる限り注意してください」と念を押すかのように繰り返し言われた。受付で渡された確認用紙の裏面には「摂取当日から翌日以降に起こる可能性がある副反応」についてまとめたグラフやもし「副反応が出た場合の相談先」が記載されており、これをよく確認してくれ、とまで言われた。彼らは笑っていたが、疲れなのか、真剣なのか、目の奥は全然笑ってなかった。そんなんで受付が務まるのかよ。

 

 副反応やアナフィラシキーショックの危険性について確認や警告をしておきながらその一方で、注射を打ってくれた医師は、ワクチン接種や副反応に対してあんまり緊張してしまうと、「血管迷走神経反射」といって立ち眩みや血の気が引いたり時に気を失ってしまったりすることもあるから、適度にリラックスしてください。とも言われた。

 

 難儀だなぁと思ってしまう。警戒はしてほしいが、緊張はしないでほしいらしい。「いいですか?」と訊かれたから、そんな器用なことできるわけがないだろ、と言う代わりに苦笑いを浮かべる。