月草日記

探るな

映画

久しぶりに休みだったので「ファンタスティックプラネット」(1973)と「燃ゆる女の肖像」(2019)を見た。前者はなんかおすすめに一番前にあがってた。後者はもうすぐアマプラの配信が終わるよ~って勧められた。前情報は特にない。作品の寒暖差で風邪をひきそう。あらすじは自分で調べてください。

 

ファンタスティックプラネットはすでに何回か見ていたんだけど、結局瞑想ってなんのことなのかよくわからないんだよな。俺はトンチキ生物の中だとぶっ殺されっちゃうけどベロが蠅とりモチみたいになってる怪鳥が好き。キミもファンタスティックプラネットを観て、トンチキ生物バトラーになろう

 

燃ゆる女の肖像は前情報とかなしに、ぼーっと観てた。そこそこ面白かった。あの時代の女性の「別れ」って男性のそれとは違って死別くらい重いな。

絵画について「どうしたら完成?」って訊かれて「時が来るまで」って答えたのが、いろいろ的を射ているところがあってとても良い会話だと思った。

あと音楽がいい。祭りのやつ。あれってジャンルとして名前があるのかな

 

昨日にちょっとトラブルが多くて12時というおっそい時間に起きたわりにはこの時間までに映画2本観れてわりと充実感が強い。定期的に見たいけど、字幕は作業と並行して見れないのが難点なんだよな

解説

深夜のフレンドクイズ・解答編

先にクイズやってからこの解説を読もう。ズルなし。フェアにいこう。

 

 

1問目「好きなスタバのメニュー」

  1. ドリップ
  2. ラテ
  3. フラペチーノ
  4. キャラメルマキアート
  5. カフェモカ

 

 

 

正解:ラテ

ブラックは飲めないし甘いのもあんま好きじゃないので。

簡単すぎたかな?

 

2問目「大金を手に入れたらどうするか」

  1. 豪遊
  2. 投資
  3. 寄付
  4. 貯金
  5. 旅行

 

 

 

正解:旅行

堅実かつ安定的な人生を歩みたいけど、かといって貯金するほど馬鹿真面目な金の使い方はしたくないので。旅行くらいがちょうどいい。国内を長期。

豪遊をするヤツはバカ。カイジを読め。

 

3問目「好きな人にアプローチする方法」

  1. デートに誘う
  2. 好意を匂わせて反応を見る
  3. 友達として仲良くなろうとする
  4. 相手のアプローチを待つ

 

 

 

正解:相手のアプローチを待つ

変に距離詰め過ぎて嫌われたりとかしたら嫌じゃんね。

 

4問目「恋人が緊急事態で電話してきた場合、どうするか」

  1. すぐ駆けつける
  2. 再度確認してから行く
  3. すぐにアドバイスする
  4. 放っておく

 

 

 

正解:放っておく

この世界は冷たく厳しいので。良問。

 

5問目「電話派かメッセージ派か」

  1. 電話
  2. メッセージ

 

 

 

正解:電話

声聞けた方が楽しいじゃんね。

メッセージは送信する前に確認とかしたくなるから好きじゃない。傾向と対策。

 

6問目「気分転換の方法」

  1. ゲーム
  2. テレビ・動画
  3. 友達と外出
  4. 音楽を聴く

 

 

 

正解:音楽を聴く

答えれた人、ちょっとすごいと思う。

ゲームは疲れるからあんま気分転換という目的ではやらない。

 

 

7問目「犬か猫か」

 

 

 

正解:猫

やっぱ人間ってふっといなくなったり死んでしまう時があると思うけれど、ネコにはネコの世界があって、ネコなりに強く生きていけると思う。ネコってネコとして独立しているから無理に気を使わなくていいし、なんか安心するんだよね。逆にネコがふらっといなくなったりしても、寂しさはあるけれど、それなりの頼もしさも感じるんだ。だってそうでしょ? ネコにはネコの世界があって、ネコなりに強く、たくましく生きることができるんだ。すくなくとも、ボクはそう信仰しているよ。そう、ネコってネコとして独立しているんだよ。

 

8問目「好きな季節」

 

 

 

正解:冬

正解してほしい。傾向と対策。

冬服が好き。

 

 

9問目「アニメか漫画か」

  1. アニメ
  2. 漫画

 

 

 

正解:漫画

自分のペースで読み進めることができるから

 

 

10問目「初デートで行きたい場所」

  1. カフェ・レストラン
  2. 公園
  3. 映画館
  4. 遊園地

 

 

 

正解:映画館

映画を見るためにわざわざ映画館に行くというのが儀式感あっていい。面白くなかったね~って言い合いたい。逆に遊園地とか二人で行って面白いこととか無いだろ。

 

 

 

総評

例年通りの傾向と対策を積んでいれば満点を取ることはそこまで難しくないはず。そこまで突飛な考えを持った人間ではないので堅実かつ常識的な判断を心がけよう。

良い点を取ってもいい気にならないでください。

 

 

 

牛乳

 ゲーム『milk inside a bag of milk inside a bag of』とその続編にあたる『milk outside  a bag of milk outside a bag of』を遊んだ。分岐もすべて確認して、実績もすべて解放したので、遊び残したところはない、はず。

 

 ご存知のとおり、「覆水盆に返らず」という言葉があって、英訳すると「it is no use crying over spilt milk」(こぼれたミルクを嘆いても仕方ない)となる。だからタイトルのmilkは、「既に手遅れなもの」のメタファーかと思うが……このゲームはやっぱりロシアのゲームで、それにあたるような慣用句は、おそらくない。「Снявши голову, по волосам не плачут.」(頭が落ちれば、髪に泣かない、髪の毛が無くなることを気にすることはないみたいな意味)同じような言い回しで、過去は過去とか荷車が関係するものがあった気がするけれど、やはり牛乳は出てこない。ロシアでも英語の慣用句が広く伝わっているかもしれない、それは知らない。

 主人公のMilkちゃん(便宜上そう呼ぶ)は一種の統合失調症のような状態に陥っていて、我々プレイヤーはMilkによって作り出されたイマジナリーフレンドとなる。Milkは第四の壁を越えて我々プレイヤーに語り掛けているようにみえて、その実、我々が設定としてMilkの世界の内側へ「引っ張り出された」という仕掛けに新鮮さを覚えたのがよかった。それと同時に自意識から離れるイマジナリーフレンドという存在が、彼女が非常に精神的に不安定な状態に陥っている、という点を考えてみると『outside』はぶっちゃけ手遅れだよね、という薄暗い気持ちにもさせられる。『inside』ではMilkの気に入らない反応を示すと「失敗」また別のキャラクターを作り始めるあたり、まだ救いがある。milkが「既に手遅れなもの=Milk」だと考えると、milk outside a bag of milk というのは流出した、ないしは外部と同化した自己、つまりプレイヤー自身とも読めるかもしれない。まぁ、それも選択肢から回答するしかない以上はやはり上位にmilkが存在し続けるというどうしようもなさがあるのだが。流れてゆく自己の話って誰のことだっけ?

outsideの話。「全部うまくいく」が多分、一番憂鬱な終わり。自己を守るために自己を認識しないように努めた結果、客観的に自己を見つめる自己からも目を背けられてしまう。鏡にmilkちゃんの後ろ姿が写った時に「はー、なるほどね」と感嘆してしまった。まぁでもこれ以上傷つかないために人間ができることってモルヒネに頼るか死体になることくらいですからね。残酷だ。

「私たち友達」は多分小さな紙きれからピザ屋のchatbotと会話をするエンド。最後の「セッションが終了しました。ページを更新してください」ってのは、milkちゃんの世界が哲学的な量子コンピュータによって再現された仮想世界ってわけではなく、サイトの有効期限が切れただけのことだと思う。他者と会話すること、そしてこの他者がchatbotであることに精神分析学から重要な示唆が為されているような気がするけれど、そこまで明るくないから言及することはできない。一番平和的な(現実に近い)エンドに見えるのでmilkちゃんの症状が改善しているように見えるけれど、どうなのだろう。なんか爽やかさはある。一番見るのが難しいエンドだろうからか?(あんなの初見で気付けるわけないだろ)あるいは思考の放棄や諦観に近いもののような気がする。「私の思考は私を助けない」いくら考えたところで循環するだけだから、考えないほうが良い。みたいな。

「視線を落とす」はかなり文学的な示唆に満ちているエンドだけれど、よくわからなかった。浅学なので……。おそらく自分の外側に仮想の世界を作り続けているうちに、自分の作り出した世界に取り込まれてしまった、みたいな終わり方だと思う。ただ巨人のような超存在が現実の世界で何を意味しているのかが難しい……原文をあたれば良いのだけれど、如何せんそこまでの気力はない。たぶん、精神的処置のことだと思うが、母が正気なのか狂気なのか、現時点では判然としない。(牛乳アレルギーの彼女にたいして注射を処置しているようにみえるが、ご存知のとおり、彼女の認識はひどく歪んでいるので)

 

insideは徹底的な自己内省の話に聞こえる。自己内省することに対して内省することに対して内省することに対して内省すること……が多分milk inside a bag of milk inside a bag of……のように見える。作り上げた自分に対して自己分析を言語化して説明することを療法としている。ビジュアルノベルの形をとっているのはつまり、そういうことなのだろう。

全体的にSerial experiments lainみを感じるけれど、あの作品が自己独立と他者理解がテーマだと考えると似ているところはあると思う。理解しうる他者が存在しないという点で分たれているものだけれど。やっぱ人間ひとりで生きていけなくて、それでもひとりの人間は自分を自分で切り裂いてふたりになるしかないんだ。残酷。

 

O!は生理的恐怖を感じた。あぁ、これってホラーゲームなんだ、って感じ。outsideのポーズ画面もO!なの、本当に最悪。本当に。

戯言

かわいい〜〜

 キャラクターと、シナリオという名の受け皿の話。

 

 TRPGをするうえで自分のキャラクターを作ることは楽しい。それを演じることは(多分)もっと楽しい。それはそう。プレイヤーは自分が演じていて楽しい / 性格・視覚的に好み / 愉快なキャラクターを作っているはずだからだ。

 それを突き詰めていくと、キャラクターの背景にある膨大な設定や、行き過ぎた言動、シナリオの雰囲気作りを妨害するような演技へと発展せざるを得ない。

 

 しかし悲劇的なことに、キャラクターとシナリオはダイレクトに直結しているわけではない。それはあくまでシナリオという受け皿に、後天的に投げ捨てられたものにすぎない。シナリオは「特定の誰か」が遊ぶことを意識して作られたものではない。

 たとえばあなたのキャラクターは焼かれた村の唯一の生き残りで、過去に人知れず世界を救っていて、三十人の伴侶が居て、未来を見通す特別な眼の持ち主だったとしても、そのシナリオの世界にそんな村はないし、世界の危機もないかもしれないし、三十人の伴侶や特別な眼の存在は許容できないかもれない、ということだ。

 それを無理に押し通すとルール無用のおままごとごっこになり得る危険性を孕んでいる。(これが所謂うちよその発展から懸念されている問題)

 

 ただ、一方でゲームマスター、とんでシナリオ作成者は、上記の様な長大な設定のキャラクターを受け入れろ——までとはいかずとも、ある程度キャラクターの受け皿を広げる努力をしなければならない。

 このキャラは敵組織に親友を殺害されている、という背景を持っていて、底抜けに明るい性格で、このPCに好意を抱いていけない……とゲームマスターが逐一制限をするようならば、それはもはやTRPGではなく、他人を巻き込んだ小説や演劇にすぎない。(これはすべてのゲームマスターが自制しなければいけない)

 水に満ちない器や人のすまない建物はゴミでしかないように、プレイヤーの自由意志のないシナリオもやっぱゴミ。

 

 そうなると、プレイヤーもゲームマスターもお互いにやりたいことを共有したうえですり合わせるのが一番いいよね、という話に落ち着く、結局。

(これは自分の意見ではあるけれど)よく遊んでいる人以外と遊ぶということは、そのすり合わせの再定義を要求するものであり、リスクを孕む行為であることはゆめゆめ忘れてはいけない。新しく遊ぶ人に対して「ウチのシマじゃこれがルールだから」は本当にカスだからやめた方がいい。

 

(こっから戯言)

 Twitterなどでたびたび話題になる、学芸会さん……w(これは陰湿な幽谷霧子)の問題の九割はそう言った自分が所属している矮小なコミュニティの外世界との衝突にすぎず、あなたには本質的に関わりのない話だし、「趣味はTRPGです」は新たな出会いと衝突を生む可能性があるので公言しないほうがいい。インターネット上に散らばるシナリオは、あなたたちがした「すり合わせ」とシナリオ製作者の「すり合わせ」の結果が違うことによって、合う合わないがあるのは当然で、それが嫌なら自分でシナリオを作るしかない。狭いコミュニティで屈折かつ鬱々と、内向的であれ、内向的であれ、内向的であれ——ここが一番甘い水で、安らかな世界で、傷つくことのないやさしい場所なのだ。外の世界を気にかける必要などないんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃあな

 

分裂

 卒論(卒業制作:小説)が全然進まないので、AIに続きを書かせたら? とふと思い立ってしまった。正直、自分が書いている作品はテーマが複雑で取り上げるものもめちゃくちゃ(用地収容、全球凍結、ヤギ、遠近感と時間の関係など……)で大した期待はしていなかったが、AIの方も負けじとぶっ飛んだ設定になって面白かったので、このブログで共有しておこうと思う。

 どうせこれから大幅な加筆修正が加わる予定の初稿だし、いっしょ。

 

以下本文。

 

 コンテナを土地に繋ぎ留めるハブは住居管理棟で集合し、管理棟の二階から伸びる廊下で研究所の本館に接続する。もしも空から見下ろせば、本館が身体で、管理棟を付け根に、コンテナが鳥の羽根のように見える——ゆえカナリアと呼ぶ、といった話もあるらしい、とゴードンは得意げに語る。想像してみるが、とても鳥のようには見えない。
「それに従えば、今は換毛期ってわけだ。これから段々と暖かくなるから、極寒の環境目当てに来ていた研究者はこぞって退去し始める。一方でその時期になると引越し費用も安くなるから、新しく入居する人も増えるってわけだ」
 実際の換毛期とはちょっとズレているらしいけれどな。と付け加えて本館駐車場に車を停め、二人は車の外へと出た。ゴードンはコートの裏から手袋を取り出す。数秒もしない内に、守衛が二人を見るなり入館証の提示を求める。門の前で見せたことを伝えても取り合わず、手袋を取り外し、財布に入った入館証を再び提示する。「頑固なんだよな、いつも」とゴードンは愚痴をこぼす。本館の扉を開けて中に入れば暖房の熱気が顔に当たり、息苦しさを覚える。
「ここはいつだって暖房が効きすぎだよな。夏は寒すぎるくらいだし」
 エレベーターに乗り込むとレヴィは「何階に行けばいいんだ?」と訊ね、三階のボタンを押す。すこし遅れて若い研究生が、模造紙を腕いっぱいに抱えて、閉まりそうなドアに無理やり乗り込んできた。
 扉が開くと、若い研究生は二人が向かう方向とは逆の方向へと消えていった。廊下をしばらく歩いていると、壁が白から灰色へ、床材もリネンからマットに変わる。通路の左側に等間隔に扉が並んでいる。通路の突き当たりにも同じような構造が続いている。
「いつ来ても、本当に人がいるのかってくらい静かな場所だな」
「構造上、扉も壁も二重だからな。ウチのボロアパートとは大違いだ」
「そうか、俺はてっきり物静かな奴が多いんだと思っていたぜ。ほら、そこの部屋だ」
レヴィが立ち止まる。扉にはプレートが掛かっているものの、番号はない。それは他の部屋と同じだった。加えてネームプレートもなかった。これはズボラな人間の部屋の特徴だった。代わりに『研究中』と書かれたダクトテープが貼られている。
 外側の一つ目のドアを開け、コンテナにつけられた二つ目のドアをノックする。すぐに返事があった。レヴィが扉を開けると、奇妙な臭いが鼻をついた。部屋に人はいなかった。長い髭に、体にびっしりと詰まった白い巻毛、垂れた耳。横に伸びた瞳孔。人はいなかった——代わりにヤギがいた。狭い研究室を大きな網のゲージが占領している。
「なんだ、これ」「ここで生物を飼育するなんて、許されてんのか?」「俺だって知らねえよ、ジンブリットの奴、最近予算が多く割り振られるから、実験の規模やジャンルに見境がなくなって来てる」「なぁ、ゴードン、触っていいのかな?」「やめとけよ、噛みつかれるかもしれんぜ。口から覗いている歯を見てみろよ、馬鹿みたいにデケェ」
異様な光景に、二人も思わず面食らいながらも、研究生の端くれとして、ここでは滅多に見ることのできない動物に興味を覚えざるを得なかった。
「や、驚いた? レヴィスンは久しぶりだねぇ」
「久しぶり? ほんの数週間会ってないだけだろうに」
 生活スペースに続く奥の部屋から女が顔を出す。彼女はレヴィのことを決して愛称で呼ぶことはなかった。
「ジプリット、どうしたんだ。これ。これ……というかこのヤギだ。どうしてこんなところにいるんだ?」
「ちょっと、研究に必要でね」
研究に必要だったらなんだって支給されるのか? レヴィは困惑した。
ジプリットはゴードンやレヴィと歳が一つしか離れていないにも関わらず、ゴードンと同じ研究分野でリーダー職に就いている、出世頭だった。そのせいもあって、ゴードンよりずっと年上に見えた、少なくとも外見上は。

//こっからAIが9割書いている

「あ、レヴィスンは知らないかもしれないけど、ここの所長は私だから」
「……は?」
「知らなかったのかい?」
「いや、知ってる。でもなんでそんな偉いさんがわざわざこんなところにいるんだよ」
「私がここにいないと、君たちのような研究員はろくな研究ができないからだよ」
「おい、待てよ、冗談は止してくれ」
「私はいたって真面目だけど」
「じゃあお前は一体誰の下で働いているんだよ」
「もちろん、私の上司は所長である私」
「なんだよ、それ」
「ま、すべての人類がオールトAIに管理されている以上、そういうことになるわね」
「はぁ、まったく。相変わらず、よくわからない理屈ばっかり並べ立てやがって」
「君のほうこそ、いつまで経っても子供みたいな口調じゃないか。もう少し大人になったほうがいいと思うけれど」
「うるせえよ!」
「二人とも、もういいだろ。とりあえず中に入ろう」
ゴードンは二人の言い争いを止めに入る。
ジプリットの研究室には、様々な種類の動物の標本が展示されていた。レヴィとゴードンは物珍しげに眺めていたものの、特に関心を示すこともなく、ケージの中に閉じ込められたヤギを見ていた。
「このヤギは特別性でね。毎秒二つに分割し続ける。ほら見てな」
促されるまま観察をし続けると、ヤギは一匹の塊から二匹に分裂していた。
「このヤギはね、一日に六回交尾するんだ」
「ふぅん」
「ほら、もう一回」
今度は三匹のヤギに分裂した。
「そして二百二十日後、二千四十二匹になる」
「へぇ」
「さらに二万八千九十六回分割すれば……」
「ストップ! わかったよ。つまりこのヤギは、一日で二倍ずつ増えていくってことだろ?」
「そうだよ」
「すげえな、これ。どうやって増やしてるんだ?」
「このヤギの精子卵子は二つずつある。一方を雌に、もう一方を雄に与えることで、二匹が誕生する。雌から誕生した個体が二匹、雄から誕生した個体が二匹だから、合計すると六匹になる。それを毎日繰り返すわけさ」
 黒板に図式を書きながら、ジンブリットはそう説明した。そしてその黒板も、チョークも、ジンブリットも増殖していく——レヴィとゴードンは我が目を疑った。しかし、それは紛れもなく現実であり、彼らはジンブリットが一人増えたのを目の当たりにしていた。
「どうだい? すごいだろう?」
ジンブリットは得意気に胸を張った。
「ああ、確かにこれはスゲェ。でも、どうしてこんなに増えるんだ?」
「そこが難しいところでね。繁殖行動と分裂現象の間に因果関係があるかどうか調べているんだけど……今のところ、何もわかってないんだよね」
 彼女が指をパチンと鳴らすと、今度は世界が分裂を始める。レヴィとゴードンは言葉を失った。
「なぁ、ジンブリット」
「なんだい?」
「お前、本当に人間なのか? 本当は機械とかじゃないのか?」
「失礼だなぁ。正真正銘の生身だよ。ちゃんと脳味噌もあるし、心臓もそれぞれある。2セットね。ああいや、違うな。世界に私が二人居て、そんな世界が二つあるから4セットだ」「やめてくれ。気持ち悪いよ」
「じゃあ、レヴィスンはどう思う?」
「うーん……」
レヴィは頭を捻らせた。「ま、あれだ。俺たちの世界が実は全部偽物で、本当の世界はこのヤギみたいに増え続けているんじゃないかって思った」
「うん、面白い発想だと思うけど……ちょっと飛躍してないかなぁ。私としては、もう少し具体的な仮説を期待していたんだけど」
「例えば?」
「例えばこれはAIが作り出した仮想の夢で、私たちはその夢の中で生きているだけに過ぎないとか」
「おい、まさか、そんなこと本気で考えているのかよ」
「いや、ただの例え話だよ。でもまあ、そういう考え方もあるなと思ってさ」
ジンブリットは再び手を叩き、分裂する世界を止めた。

 

世界の分裂は免れたらしい。よかった〜〜

この世界もAIが作り出した仮想の夢で、私たちはその夢の中で生きているだけに過ぎない、そんな可能性を棄却することはかないませんでしたが

 

おわり

 

AIのべりすと/とりんさま7.3B V3

Bit192, Inc.

 

深夜

に映画館で『すずめの戸締り』を見た。自分は賛否の「ぴ側」なので気をつけてください。感想というか当時観た時に考えたことの忘備録として残しておきます。

 

個人的な感想の話。

ちょっとデストロイヤー要素が足りなかった。糸森市を襲った隕石、電気設備を爆破破壊したてっしーがいる『君の名は。』や、女の子のために拾った拳銃を振り回し、東京を水の底へと沈めた主人公がいる『天気の子』と比べて、アクション要素、映画としてでっかいものぶっ壊す要素が減ってしまったことが——私が、人類の代表、総意として主張させていただきますが——非常に残念なりません。なぁ誠、車は直さないでもっと壊していかないか? 東京にミミズをぶち落としてくれないか?

 

 

こっから真面目な話

ちょっと物語のテンポが、作品の見やすさではなく監督のやりたかったことに先行して作られている感が否めない。そしてそれはそもそも『すずめの戸締り』がいったい何を主題として作られているのか喪失してしまっていることが原因だからではないかな、とぼんやり考えている。

結局、『すずめの戸締り』ってなんだったの? 震災に焦点を当てたかったのか、それともボーイミーツガールをしたかったのか、「閉じ師」という職業から地域の物語に目を向けたかったのか、ダイジンという不思議な猫としゃべるイスのおかしな逃走劇をやりたかったのか、それとも日本を北上していくロードムービーをやりたかったのか——要素がてんこ盛りで、どれもが中途半端なままで終わってしまった。お前はガキのランチバイキングかよ。

 

たとえば『君の名は。』『天気の子』の良さは地域信仰や伝承の概念とボーイミーツガールの運命性をうまく絡めて一本の筋にしていた。けれど、『すずめの戸締り』に関してはそこを「別のイベント(椅子になる話)の巻き込まれ」と「一目惚れ」で片付けてしまっていて、完全に別軸の物語が二本立っているような状態になっている。これだけでも割と作品としてとっちらかった印象を受けてしまうのに、本作を構成する要素はそれにとどまらず、そしてそれぞれがそれぞれに強い結びつきがあるとは思えない……。なぁ誠、もーちょっと上手くやれなかったのか?

東北を含めた地域の「場所を悼む」物語を書くのならば、回想ではなく現実として当時の話が欲しかった。でっけえ厄災が扉から出るから閉じましょう、だけが「戸締り」に込められた意義ではないはず。そこに隠された意図が曖昧なイメージとほわんほわん反響する声だけ投げてあとは考察する人にお任せしまーすって態度、普通に最悪だと思う。もっとちゃんと書け。

ロードムービーとして書くのならば、九州-東京と東京-東北までの間に一呼吸入れるべきだった。ここはまったく旅の意味合いが変わっていくはずが、シームレスに、かつ成り行きとコミカルという形で旅が再開してしまった。東京が旅の分岐点であり、作品の盛り上がりの底であり、ここに一度止まるべきだった。天気の子はそこら辺がしっかり描かれていただけに残念だ。

ボーイミーツガールとしてはわりかしよかったと思う、よくないが。誠くんってそういうとこだけ器用だよね。

 

めっちゃ細かい話

・ダイジンっぽい猫だから「ダイジン」って呼ばれてる←これどういうこと? みんなはあの白い猫を大臣っぽいって思ってるの? 俺は普通にキモかわいいタイプの猫だと思ってるけど。世界は俺の知らないうちに変容しているのか?

・本当にちゃらちゃらした教員志望の男子大学生は必要だったのか? おばさんと東京駅でしっかり和解してから二人でいけばよかったんじゃないか?

・黒い猫はなんでタマキおばさんを洗脳したの? お前なんなの、性格悪すぎない? 神様だからって全部「気まぐれか〜」で許されると思うなよ。説明責任、果たしてもらいますからね。

・猫で観客を釣るな。猫は制限カードなので一つの映画に一匹までしか入れられません。これはレギュレーション違反ですね

 

結論として、テーマが散らかっていてもったいない一作だと感じた。

もしも震災とその後始末的なものについて映画でやりたかったのなら、テーマをそれ一本に絞り切って、アニメーションでしっかり逃げずにやりきってほしかった。綺麗な絵と声だけの回想で脚色されただけの美化された思い出じゃなくて、もうマジでいろんな人を傷つける覚悟と責任背負ってしっかり書き切ってくれよ。まぁ、新海誠という名前がデカくなりすぎたうえに、時代が時代だから難しい話かもしれないけれど……。

 

 

だから誠、今度は巨大ロボットの映画作って地球をぶっ壊してくれないか?

スプラ3 マップ別立ち回り考察メモ

あくまで自分用のメモ。思考の整理。基本的にガチエリア、エクス視点。ちょっとずつ更新したい

 

ユノハナ大渓谷

 一度自陣から中央へ降りれば二度と家に帰ることは許されないイカれたステージ。構造上、中央が獲られているとスペシャルを吐いても中々打開できないため、しっかりと相手を倒してからの丁寧な取り返しを心がけたい。
 ここでしっかり保持する(抑えておく)ポジは3~4つ程度。幸い、エクスプロッシャーは比較的に圧をかけやすいため、しっかりと索敵しながら前衛の負荷を減らしてあげたい。

①自陣高台

自陣の中でひときわ高くなっている自陣高台。見れる場所が非常に多い上に、中央の高台に干渉できるのも魅力的であるため、しっかりと抑えてあげたい。チャージャー系に無い魅力として高台付近に設置されている障害物の裏や、高台の裏(未検証)などにも曲射を駆使すれば届く(っぽい)ので、味方の報告やセンサーからキルを狙えれば相手にとって非常に脅威になるだろう。できないけど

②中央高台

見れるところが非常に多い、という一点において非常に強力なポジション(それだけ相手からのヘイトを買いやすくもあるが)前述した①高台とその裏や、中央のエリアはもちろん、マップのサイドにある一見、なんのために造られたのかよくわからないけどおそらく裏取り用なんだろうなと辛うじて察することができるデッドスペースまでエクスプロッシャーなら見ることができるんです。これって凄いことなんですよ!!

③敵陣高台右下

スプラトゥーンをやっていると、どうしても味方の動きや、大学の先輩、会社の上司、世間の流行、宇宙の法則、そういったものに我々が"合わせる"必要がでてしまう。個人的にユノハナ大渓谷はリスポーン地点から中央へ向かうルートが豊富で、相手を前線で押しとどめる動きは弱いと考えているが、まぁそれはそれとして「どーしても前線で敵を止めなきゃいけないんです」となった時の攻めのポジが敵陣高台右下。

なんだか、い~かんじに遮蔽もあって、写真右の高台にも圧をかけることができ、ピンチになればすぐに台から降りて中央へ逃げることができる。でも無理に前に出るくらいなら中央高台キープしてた方が強いと思う。あまり使いたくないポジ

 

総評

基本的に高台を取って味方のカバーリングをしてあげるのが基本的な立ち回り。無理に敵陣に攻め込むのではなく、中央を陣取って「打開させない」意識が重要。射程の長さを生かして、高台から伸びる金網を渡らずとも敵に触っていけるのはシューターには無い強み。一方で爆風の関係で金網を渡って来る不届きもの敵に対処し辛いため、早めの報告やカモンで他の味方に対応を手伝ってもらう必要がありそう。

 

ヤガラ市場

メインとなる中央のルートとその側方に自陣/敵陣へと繋がるサイドのルートが特徴的なステージ。中央の打ち合いに集中しすぎて裏取りから一気に壊滅するのがしばしばあるので、報告や積極的なマップ確認から事故を未然に防ぎたい。ステージの構造上、射程の長い武器が非常に脅威となるステージであり、エクスプロッシャーもその例に漏れず、強みを十分活かして戦っていきたい。

①自陣屋根上

インクチャージができないことを踏まえても、かなり強力なポジション。中央のエリア維持をしながら右の裏取りルートも見ることができる。ボムを投げられてもしっかり移動できればインクを踏むことがないのもポイント。とはいえ、インク管理の厳しい武器ではあるのでチャージャーがいるなら積極的にポジションを譲ってあげたい。

②左坂上

爆風や曲射で敵陣やエリアにちょっかいをかけながら、すぐに自陣へ戻れるのがミソ。たまに刺さるポジ。逆に言えばたまにしか刺さらない。

③右坂上

②からちょうど反対側に位置する裏取りのポジション。エリアの前や敵の右高台、ちょっと足を伸ばせば、崖下(写真右)から奥のスロープまでカバーできるのが美味しい。このポジションにたどり着くまでに倒されてしまうかもしれないというリスクはあるものの、ポジションから離脱する分には容易いので、できるなら積極的にチャレンジしたい。

④敵陣屋根下

個人的に強いと思いたい抑えのポジション。左のリスポーンルートや右のスロープのルートを同時にカバーしつつ、敵陣手前にもセンサーで嫌がらせできるポジション。屋根もあってこれがなにかの役に立つことはないが安心感がある。まぁここに籠るならスクスロでいいかな感は否めない。

総評

センサーやエクスの爆風の範囲を見ればわかる通り、正直中央に陣取っているだけで十分脅威となる。長射程による、長射程のための、長射程のマップ、それがヤガラ市場。愚かにも近づいてくる前線武器を冷酷かつ残酷にも処理しつつ、自分たちに有利な状況をキープし続けたい。どうしてもエリア中央で膠着しがちなので、裏取りに行こうとしている味方がいればできる範囲でのカバーや、裏取りしようとしている敵に対する報告が勝負を分ける、気がする。

ゴンズイ地区

全体的に入り組んでいるうえに、チャージャーとの対面も難しそうなマップであり、エクスを担いで行きたくはない印象を受ける。エリアが広く「瞬間的に一定の範囲を塗る」ことでエリアキープや奪取を狙うエクスの特性を活かしにくい。一方で曲射で下から台上に圧をかけやすいところもあるため、柔軟な立ち回りを求められる。

マップがエクレアかよってくらい縦長で、一度自陣まで侵攻されると、横に広がるルートが存在しない都合上、打開が本当にキツい。雨なんか降らせている場合じゃない。

①屋根上

自陣右にある屋根上のポジ。攻めることはできないが、屋根の裏に隠れたり、自陣に逃げたり、様子を見て写真右の高台に攻めたりと、打開の起点として確保しておきたいポジション。ここから中央のトンネルにセンサーが届く(多分)ので、ガチアサリなどでも効果的に刺さりそう。

②敵陣高台

敵陣の屋根上や塗ることのできない通路、中央の通行ルートなど、カバーできる範囲が多いのが魅力的。その一方で遮蔽が少なく、チャージャーの良いカモになりがちなポジションでもあるので注意。基本的にはセンサーで屋根上をクリアリングだけして、遮蔽を活かしながらカバーしていくことになるだろう。しかしやはり、相手の編成次第では強力なので、頭には入れておきたい。

③電信柱

リスポーンから飛べるなんか乗れるポジション。滅茶苦茶弱そうだけど使ってみると案外強い。全体的に打ち下ろせるため非常に強力ではあるが、インクチャージできないうえに無限にボムが飛んでくる。チャージャーに抜かれなさそうなのが〇

総評

正直なところ、全体的にここでの立ち回りはまだうまく固まっていない。中央の高台は遮蔽が少なく頼りないうえに高台は妙に使いづらい、というのが現状の評価である。まぁ、強いけどね。機動力の高いシューターが強いステージのように見えるが、今後の開拓次第で変わってきそうではある。誰かなんとかして~

 

マテガイ放水路

中央を遮るような小高い台と、左右にそびえる屋根が特徴的なステージ。ガチエリアでは敵側が比較的確保しやすい奥のエリアをいかに迅速に奪取できるかが勝利のキモとなる。また、屋根上が非常に強力なポジションのため、そこをいかに維持/妨害するかもまた重要となる。手前は意外と横に広いステージだが、肝心の中央は四畳半一間レベルの狭さで結構気合いで押し切る場面が多い。

①自陣右

個人的にかなり重要だと考えているポジション。ここに陣取っていチャージャーを一方的に攻撃できる。ほかにも右のエリアの奥から来る敵を抑えたりとエクスの性能を最大限に活かすことができる。正直ここに居るだけで勝てるレベルだが、逃げが苦しい場所でもあるのであまり過信はできない。

②自陣屋根上

馬鹿と煙と長射程は高いところが好き、という古い言い回しにあるように、ここも色々できて強い。一方で対岸のチャージャーに普通に抜かれがちなので、編成を見ながら、という感じで。あくまで①のポジションが警戒されていると感じた時の裏択。

③敵陣屋根上

思い出のブランコ、最寄り駅のプラットフォーム、放課後の教室、マテガイの敵陣側の屋根上。ここは、俺達の"約束の場所"なンだよ――。ってレベルでエモ強いと思っている。右側の侵攻ルートを完封できる抑えのポジ。エクスが見れる場所が非常に多いうえに、ここまで登るルートをセンサーで封鎖できる。やばくなったら高台から降りてもよし、スーパージャンプしても良し、と言った感じ。壁塗りの良さもあって比較的アクセスしやすいのもなお良し。

左のリスポーンルートがお世辞に強いとは言えない以上、この高台が一度敵の手に渡ってしまうと完全な打開が難しい。スプラトゥーン3君のそういうところ、私嫌いだな。

総評

敵側の屋根をコントロールすることが勝利の近道であり、かえってコントロールされてしまうとなかなか打開が難しく、長く苦しい状況を背負わされてしまう。とはいえ、エクススロッシャーが有利に働く地形が点在しているのは事実である。したがって、序盤にひとつひとつアドバンテージを稼いで不利的状況を長引かせない/深刻化させない堅実な立ち回りを心がければ、決して難しいステージではない。